「回遊」ノススメ
(撮影)HeadLine編集長 中野 哲也 PENTAX K-S2使用
(【尾灯】写真) RICOH Quarterly HeadLine Vol.23 2019 春
全国の街を取材して歩くと、共通する悩みを聞く。もちろん人口減少である。2019年初の総人口概算値(総務省統計局「人口推計」)は1億2632万人で前年から27万人減り、水戸市(茨城県)の人口がまるまる消えた計算だ。どの自治体も人口増加対策に躍起だが、残念ながら出生率が劇的に上昇しない限り、A市が増えてもB市がその分減るというゼロサムゲーム。となると、定住人口(住民票に登録する市民)を競い合うより、交流人口(国内外からの観光客など)や関係人口(移住しないが断続的に関わる自治体外の人)を増やしたい。交流人口では訪日外国人数が昨年3000万人を突破し、そのインバウンド消費は今や巨大産業。今後の課題は関係人口をいかに増やすか。やはり東京一極集中を是正するしかない。例えば国が企業に対し、社員の勤務地を年間数カ月間、東京から地方へ移すよう促す政策はどうだろう。「働き方改革」に資するし、企業の負担が重ければ財政支援を講じてもよい。無論、企業には地方の空き家や空きオフィスを有効に活用してもらう。幸い、ネット接続できればどこに居ても可能な仕事が増えた。超高速の次世代通信規格5Gが来年実用化されると、それはもっと拡大する。夏は寒冷地、冬は温暖地で農漁業体験やスポーツを楽しみながら働きたい人は少なくないはず。日本人が「回遊」するようになれば、被災地の復興や地方の創生に必ずプラスに働くだろう。(N)